“みんなの幸(さいわい)のためならば、
僕のからだなんか百ぺん灼いてもかまわない”
星祭の夜、いつのまにかジョバンニは
天の川を走る小さな列車に乗っていた。
前の席には幼なじみのカムパネルラが座っていて
黒曜石でできた地図を眺めている
今、少年たちの星をめぐる物語が 始まる
賢治は、この物語をどんな思いで書いたのだろう
28歳の若者は、37歳で亡くなるまでこの物語を何度も書き直し
推敲を重ねていた
物語の中で、サソリは語る
“ああ、私は今まで いくつのもの命を奪ったかわからない、その私が今度いたちに獲られようとした時はあんなに一生懸命に逃げて、井戸で溺れて行くだけ。どうして私の体をいたちにやらなかったろう。そしたらいたちも一日生きのびたろうに。どうか神様。この次には、まことのみんなの幸のために私のからだをおつかい下さい。”
みんなの幸い 本当の幸いを ジョバンニは見つけられただろうか
賢治の思いを乗せて汽車は行く
銀河鉄道の夜
Nokt de la Galaksia Fervojo
ナレーター&文 佐々木健
※今回はビデオ撮影して1発録りに挑戦しました(YouTubeでご覧いただけます)
※サソリのセリフは一部読みやすく変更しています